SOMEWHERE

フェラーリ

次第に明快になっていくストーリー

SOMEWHEREとは、途中からストーリー展開がハッキリとしていく作品なので、最初は、どのような構成となっているのかがわからない作品です。

そもそも、主人公はバツイチです。
バツイチなので、パッとしない男性という演出のもと、のどかな生活とともに、変化しない毎日を送っているという流れでストーリーが進んでいくのです。
SOMEWHEREの不思議なところは、このような作品にしては珍しく、話が全体的に無味乾燥としているところです。
一般的なバツイチが登場する作品であれば、家族愛に目覚めたり、もしくは、現状を嘆いて人として成長する、もしくは自棄になるようなシーンが出てくるものです。
しかし、SOMEWHEREの中ではそのようなシーンが出てきません。

主人公に関する話も少なく、どちらかと言うと最初はSOMEWHERE内に登場する町並み、そして、主人公と関係のある人物の案内のほうが多かったように思います。
なので、ストーリーが冗長な作品は好きではないという人であれば、物語を最初からじっくりと見ないほうが良いかもしれません。
多分、SOMEWHEREは日常を表現しながら、唐突に変化する生活の演出を重視したいのでしょう。
ですが、近年の作品と比較しても、ストーリー展開が遅すぎるので、見ていて飽きるという気持ちのほうが強まっていきます。

その他の要素としては、バツイチの男性なのですが生活には余裕がある(高級車を乗り回している)、そして落ち着いた生活をしているという特徴があります。

どう考えても日常編(仕事のシーンなどが多い部分)と比較すると、どうしてこんな生活をしている人が、これほど優雅な生活を送れるのだろう、という疑問を覚えてしまいます。
これも、主人公そのものが気さくな人物であるための演出なのだと受け取っているのですが、SOMEWHEREは、実際に見てみないとわからない部分が多いため、特徴をまとめるのが大変という意見が多いのも頷けます。

ただ、ストーリー展開は中盤から一気に進むようになっているため、最初に比べると、中盤以降は楽しめるようになっています。
ここでバツイチの男性が、元妻と会話する、娘と会話するというシーンが出てくるため、バツイチの男性が家族関係について悩んでいる人で、且つ過去の親子関係を思い出して、久しぶりの娘との出会いを楽しんでいるのが伝わってくるのです。

音楽と色使いにも注目

SOMEWHEREの感想、評価についてですが、やはり世界観、音楽の表現はSOMEWHEREならではと感心させられます。

音楽と色使いが素敵なので、バツイチの男性が登場する作品にしては、妙にリッチな気分になれる作品でした。
また、Ferrari(フェラーリ)のような高級車も登場するので、良くわからないところで特殊な演出を持ち込んでくるというのも、SOMEWHEREの見所かもしれません。
後は、男優、女優ともに演技にくせがあるので、見ていて飽きさせない部分も存在していました。